庭に来るトラツグミ

環境の良さから、愛川町に移住して6年、庭にやってくる野鳥の種類の多さにいまだに感動させられています。
その中のひとつ、冬に来るトラツグミは一見、茶褐色ばかりの地味な鳥ですが、
腹部から脇にかけての連続する三日月形のシンプルな幾何学的模様は
見れば見るほど、その美しさに魅了されてしまいます。

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しかし、明けがた聞こえてくる、風を切るような「ヒィー、ヒョーーーー」という鳴き声は
不気味そのもの。
とても野性の生き物の声とは思えないので、UFOと勘違いされることもしばしばですし、
古事記・万葉集などに登場する妖怪「鵺(ぬえ)」は、この鳥のことです。
闇夜に聴こえる気味の悪い音の正体わからず、おどろおどろしい化け物を想像させたのでしょう。
さて、庭にやってきたトラツグミが何やら体を揺すっています。
その時、頭は全く静止の状態、体だけを上下左右にと器用に動かします。
その姿はまるで上手なパントマイムを見ているかのよう。
これは地面に振動を与えて地表下にいるミミズなどを採食しているのです。
体を揺すりつつ時々くちばしを地面にグサッグサッと突きたてるので
初めてこの動作を見たときは、何をしているのだろう?と気になり、
飛び去るのを待っていそいそと駆けつけると、見事に地面が穴ぼこだらけになっていたのでした。
この仕草、もちろん採食の意味が一番なのでしょうが、そこは好奇心強い野鳥のこと、
ただ揺らすのが楽しくて遊んでる(ダンスしてる?)意味合いもあるんじゃないかな、と
勝手な推測を加えると
警戒心の強い野鳥達が身近に感じられ、寒い冬の観察もますますやめられなくなります。
暗い林を好むトラツグミ、一見コワモテなようでいて、しかしその姿・生き様共に面白く
観察していて飽きません。
この冬、鵺の正体ぜひ見に行きましょう。ただし、服装は完全防寒で!

(池田 倫子)


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