戸塚名瀬の里山づくり

里山とは尋ねられた時に、桃太郎の昔話で「おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくに行きました。」
という情景が里山ですと私は答えます。里山のイメージとして、昔遊びの場所、
昔懐かしい場所、癒しの場所、生活の場、農業の原点、文化伝承の場、生き物たちの場所等々
数え切れないくらいあり、まさしく昔話に出てくる風景が思い出されます。
また、小学校3年生の国語の教科書で写真家の今森光彦氏は「里山は、未来の風景」というエッセイで「しょくぶつやこん虫や鳥など、
たくさんの生き物たちのすみかのすぐとなりに、人も住んでいることが分かります。
こんなふうに、人としぜんがなかよくくらしている場所を里山とよんでいます。」と語っています。
日本人にとってこのような一番身近な場所であった里山の荒廃が
近年目立つようになってきました。
里山林や畑には、笹や竹が侵入して密集し、樹木の生育や立ち枯れを引き起こしており、
下層植生は貧しくなり、落葉樹林に生育していた野草、昆虫、動物等も
見られなくなり、さらに、カシ類やシイ類などの常緑樹が優占樹種となり、暗い森となっております。
その主な原因として、農家の高齢化や農家の減少のために、
本来人間の手が入ることによって維持されてきた二次的な自然である里山が管理されなくなったことと、
昭和30年代に始まったエネルギー革命(電気・ガス・石油)や
化学肥料等によって、里山の持つ経済的価値が低くなり、
多くの里山が放置されるようになってきたからです。

昨年の10月に私の住んでいる近くの横浜市戸塚区名瀬町にある、
放置され荒廃した約2万坪の里山を目の前にしました。
地主さんの依頼で、失われつつある日本の原風景である里山を取り戻すために、
早速12月から月2回の頻度で地域住民のボランティアの人たち及び
森林インストラクターの仲間たちと一緒に平均15名くらいで、
まず我が物顔で繁茂している薄暗い竹林の伐採整備を開始して、
この半年間でモウソウチクを700本以上伐採しました。
この春には厳しい冬を耐え忍んで乗り越えたヤマザクラの花、コナラ、クヌギ、イヌシデ等の
眩いばかりの新葉、モグラたたきゲームのように地上に顔を出したタケノコ、
希少種を含むさまざまな野草、清々しい野鳥の鳴き声、
冬眠から目が覚めたばかりのアオダイショウ等々の
自然の仲間たちとの1年目の感動の出逢いがありました。名瀬
今年の4月1日付けで「名瀬谷戸の会」という任意団体を設立して、
自然保護の大切さを多くの地域の皆さんや子どもたちに伝え、
ともに守り育てていくために、いろいろとやるべきことが山積み状態ですが、
昔話に出てくるような里山づくりを目指したいと思います。

(田中真次)


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