2020年11月24日の早暁、とても鮮やかな夢を見た。
緑の草原の真ん中に一本の巨樹が立っており、私はそれに向かってボールを手にドリブルをしていた。
軽やかに巨木に近付き、ジャンプをしてダンクシュートをした。その瞬間、巨樹は一杯に果実をつけた。私は次々とドリブルとシュートを繰り返し、その度に果実は増えていった。誰かが渡してくれるボールは、いつの間にか果実に変わっていた。そして私は、楽しくて、楽しくて、けらけらと笑い続けていた。
冷静な自分が夢の中に現れ、何故バスケは苦手な私があんなに軽々とドリブルとシュートを繰り返しているのだろう、若い時のこととしても有り得ないと考えていた。そこで夢は醒めたが、身体全体がポカポカ温かく、幸福感に満ちた目覚めであった。
これまでに私は、こんなに華麗で鮮やかな夢をみたことがなかった。頻尿の気のある私はいつもトイレを探し続けるような夢か、現役時代の仕事のプレッシャーの夢を見ては、目覚めてから夢で良かったと胸をなでおろすのが常で、今回の出来事は衝撃的であった。
私にはこの夢が何らかの啓示のように思えた。ほぼ毎日ウォーキングしている私は、歩きながら必ず何らかの自問自答を繰り返しており、その内容は最近ではコロナ問題や生死の問題であることが多いのであるが、いつも思考は未完で終わっていた。夢はこれらのことと関係があるのかもしれない。
そこで私はこの夢の理由探しの心の旅に出ることとした。今の自分から過去へと、その時々の自分の思いや考えをもう一度なぞることによって、初めて遭遇した、素晴らしい夢の正体を明らかにしようと思ったのである。
巨樹がくれた夢
2021年2月12日 佐藤 憲隆