巨樹がくれた夢(その7)森林生態系


「巨樹がくれた夢(その6)心の依り代としての自然」へ戻る

陸上生物が生存出来る仕組みを森林生態系と呼ぶ。森を学ぶにあたって必ず引用される重要テーマのひとつである。

主役は森(植物)であり、故に「森は陸上生物のゆりかご」と言われるゆえんである。

森(植物)は光合成という重要な反応をつかさどり、太陽光と炭酸ガスとを吸収・反応することによって酸素を放出し、同時に炭水化物を生成・貯蔵する。陸上生物は酸素を呼吸し、炭水化物を食べて生命を保つ。もうひとつの重要なメンバーが存在する。それは菌類と総称されるキノコ等の存在、土壌中に生育し、落葉や動物の死骸を有機物に分解、自分の餌とするとともに、それを肥料・養分として植物に提供するという循環の仕組みである。それぞれの役割分担によって、森を生産者、動物を消費者、菌類を分解者と呼んでいる。三者が持ちつ持たれつの関係で、豊かな生命圏を維持しているのである。そこには自然の摂理によってもたらされた、平等な関係性・依存性のみが存在しており、上下関係や優劣は存在しない。もし優劣が語られるとしたら、それは人類の傲慢なエゴであり、人類滅亡への入口となるであろう。

「巨樹がくれた夢(その8)ガイアというコンセプト」へ

巨樹がくれた夢
2021年2月12日 佐藤 憲隆


カテゴリー: 森のエッセイ パーマリンク