私は横浜の緑区に住んでいますが、我家の近くにも自然が多くよく散歩します。
今の時期は、椿の赤い花が目につきます。
しばらく見ているとメジロがやってきて下の花びらに止まり、蜜を吸っています。
日本では珍しい鳥媒花で、赤い色は鳥の目に映りやすいそうです。
花びらに爪の痕が小さな黒い点で残ります。
椿の花はサザンカと違い、丸ごと落ちます。
雄しべが下部で合着し筒状になっているからで、鳥に横から蜜を吸われない為と言われています。
梅も咲いています。
花の香りが良く、成虫で越冬するハナアブなどを呼びますが、鳥も花の蜜を吸っています。
よく「梅にウグイス」と言われますが、メジロです。
また、桜に先駆けて白い花を咲かせるのが、春を告げる木とされるコブシです。
前年から、毛に覆われた花芽を沢山つけて冬を越し、白い花を一斉に咲かせ見応えがあります。
足元に目をやると、タンポポやコオニタビラコなどの黄色の花が目に入ります。
ハナアブなどが好む黄色い花を咲かせ、花粉を運んでもらいます。
アブは、ミツバチと違って黄色ならどんな花でも飛び回ってしまうので、
花は仲間に受粉してもらう為にまとまって咲きます。
道端に1本で咲くタンポポは、外来種のセイヨウタンポポです。
花の基部を包む総苞片が反り返っているのが特徴です。
ほかの花の花粉を受粉しなくても自分でタネをつくるので、まとまって咲きません。
セイヨウタンポポは、繁殖力が強く季節を問わず咲き、
今では都会で見られるのはほとんどがこれです。
在来種のカントウタンポポは、神奈川県内でもまだ開発されていない郊外の田畑の畔とか野原、
自然公園に、群れになって健気に咲いています。
3月から4月になると様々な色や形の花が多くなります。
チョウやハチはこの時期、盛んに行動し始めますが、花の色や形によって訪れる花を選びます。
仲間の花を選んで、特定の昆虫が花粉を運んでくれることは効率的であり、
永い時をかけて共に進化したようです。
少し離れて観察すると、その花にどのような生き物が来てどういう動きをするかを見ることができ、
花の色や、形、機能がそれぞれ違う意味が分かり自然の不思議を感ずることができて面白いと思います。
(吉原 秀敏)